料理ネタ


2006年4月

4日分、まとめて更新!

4月1日(土)
・ごはん
・豆腐とたまねぎの味噌汁
・卵焼き
・わかめとシーチキンのマヨネーズ和え
・野沢菜漬け

この日は夫が一日中会議漬けだった。代わりに私が自宅で息子のめんどうをみた。 ここのとこ1週間ばかり、根をつめて夜の2時、3時まで仕事をしていることがざらだったので、少し気の抜けた土曜に、とうとう風邪症状(水鼻)が爆裂した。といってもだらだら流れる締りのないピークの迎え方だったけど。。買い物にでかける元気が出ず、家にある、あり合わせのもので作った。

4月2日(日)
・折り詰めの寿司

岡山の寿司屋で、親戚を交えた従姉妹の結婚報告会(食事会)が昼間にあったので、辻田家全員で参加(乱入?)した。そのまま息子を実家の両親にあずけ、夫婦で奈良に帰宅。夕食は食事会のときにもらったお寿司。助かるわあ。

従姉妹の旦那さんとなる人は趣味人で、いろいろ引き出しを持っている人だった。パソコンを手作りするかと思えば、仏像にやたら詳しかったりする。きっと楽しい家庭になるんだろうな。また話を聞かせてもらいたいな。

息子は早々と私たちの元から離れ、初対面のお祖父さんになつき、知らない間にちゃっかりとお小遣いまでもらっていた。

4月3日(月)
・サイゼリアで適当に

日曜は体力的に限界がきてしまったので、早々と9時に就寝。12時間ぶっとおしで眠って、月曜の9時に目覚めると、あら不思議、からだがぐんと軽くなっていた。無理して原稿を書かなくてよかった。こういう体力と気力が衰えているときに書いても、かえって無駄な時間がかかるばかりか、内容的にもロクなことがないからな。

日中は、機材のパッキングして、宅配業者への受け渡し。6時半ごろ、会社近くのサイゼリアで適当な夕食(悲しい)。夜11時まで原稿書き書きしてても終わらず、いったんうちに帰る。仕事を再開して、2時に書き上げた。ふう〜。

日曜、月曜と実家に連絡して息子の様子を聞くが、いたって元気らしい。「さみしがっている素振り一切なし」とのこと。電話口に出たときの声も、とっても張りのある明るい声をしている。「今ねえ、積み木してんの!」「ああそう、よかったねえ。でもゆうくん、お母さんいなくて、さみしくな」「あ、美紀、ゆうくん受話器置いて積み木のほうに行ったわ」ってな感じ。これはもう、私たちを心配させないよう、けなげに明るく振舞っているに違いない(←と思いたい。思うことにする)。

4月4日(火)
・イタリアンディナー

もうひとつの原稿(校正作業)の締め切りは、少し延ばしてもらって、少し余裕がでた。夕食は、夫と待ち合わせて、会社近くのイタリアンでディナー。よい材料を使っていて、店のひとも大変感じがよく、お腹もこころも満足した。

明日から東京へ出発。この日記は更新していく予定(たぶん)。モバイル機器の準備は完了。これからささっと最小限の身の回りのものをパッキングして終わり。現地調達主義で行く。
2日分、まとめて更新!

4月5日(水)
・居酒屋メニュー

東京に無事着いて、機材セットアップも6時には終了。ここまでは順調だったが、大量に出た段ボール箱をウィークリーマンションまで持ち帰るのに手間取った。住所を間違えて、渋谷のまちを大量のダンボール箱を積んだレンタカーで4時間もうろついた。車の移動は大変。一方通行ばっかりでうんざり。。。

夕食にありつけたのは、11時をとうに過ぎたころだった。早朝に奈良を出発したので、食べながらその場で眠りそうになったぐらいだ。

4月6日(木)
・居酒屋メニュー

今日は、稽古初日。 収録機材関係のどたばたについては、ここでは書かない。寝れなくなるもん。

稽古後、あなんじゅぱすとダンサーの岩下徹さん(山海塾の元メンバー)の作品『んぐまーま』をこまばアゴラ劇場で観た。観劇後立ち寄った居酒屋で、偶然岩下さんと席が隣になった。そういえばよーこさん(あなんじゅぱす&青年団)とも、昨日偶然二回もばったり遭遇した。不思議なご縁だ。
4月7日(金)

・居酒屋メニュー

おとといよりも昨日、昨日よりも今日と、だんだん現場に慣れていっている。この研究の方針は、自分たちの組み上げた環境に相手(被験者さん)を招き入れるという通常の実験的手法と異なり、研究者側が相手のふところに飛び込むというフィールドワークの手法を採っているので、事前に万全にシミュレーションできる類ではなく、相手側の事情に合わせて柔軟に対応していかなければならない。昨日は機材運用の段取りが悪くて、現場の稽古場面で頭が真っ白になってしまった。こういうとき、ポーカーフェイスできればいいのだけど、「やば」という表情がばっちり出ていたのではないかな。

昨日は稽古後も、頭ががんがんして、からだがだるーくなってしまった(心身症状?)。もうこういうときは思い切ってたくさん寝るしかない。おかげで今朝すっきりした頭で、昨日の症状は、同行者が万が一ダウンしたときでも、自分ひとりでなんとかやっていけるだけの体力(=機材運用力)が自分に圧倒的に不足していることに無意識的に気づいた不安感に由来するのだと理解できた。同行者に全幅の信頼をおいて技術サポートに頼ることと、何も知らずにたんに丸投げするのとは全く違うのだ。今朝早めに現場にいき、その反省点をつぶしていったことで、もう必要以上に慌てることはないだろうと思えた。これでさらに一枚面の皮が厚くなったに違いない。

劇団員の方々もとても協力的に接してくれて、胸がいっぱいになる場面が多々ある。しかし、これ以降も、あまり具体的な事柄はここには書かないことにする。現場で起こったことに対する守秘義務が私(たち)にはあると考えているので。

今日は、稽古が早めに終わる日だった。偶然東京に研究会に参加しにきていた会社の元同僚たちと品川で待ち合わせて、居酒屋で食事した。この3月31日をもって、会社のなかの私の属していた研究所は閉鎖され、半分以上の研究員が他所に移ることになったのだ。「他人事」としてドライ&クールに捉えることが難しい出来事が続いた。とはいえ未来志向の人間たち、帰りの新幹線もあるので、ぱぱっと食べて握手して別れた。
4月8日(土)

・喫茶店でしょうが焼き定食

午前中は懸案事項をひとつ解決して、朗らかな気分になった。先日編集者の方に泣きをいれ、締め切りを延ばしてもらった『アートのアフォーダンス』本(のワンチャプター)のゲラの校正を終え、土日も開いている渋谷郵便局に出しにいくことができたのだ。これで約束の週明けには先方に届いていることだろう。

ウィークリーマンション近くの渋谷・円山町の小さな喫茶店で校正作業の最後の詰めをおこなったが、田舎ではお目にかかれないいろんな職業の人が入れ替わり立ち代り出入りしていて、興味深かった。ゴム長靴を履いた魚屋さんか野菜屋さん、黒づくめのホストのお兄さんたち、真っ白のトレンチコートを羽織った絶世の美女(まずそうにサンドイッチをつまんでいた)、16、17のときに上京して以来ずっと同じお店(飲み屋)で働いているというおばあさんなどなど。

稽古の収録は滞りなく進んだ。いままでは稽古開始時刻の2時間ほど前には現場入りして、準備を進めていたが、明日からは1時間前でも大丈夫だろうということになった。トラブルが起こるのが当たり前、からだがつらいのは当たり前の心積もりで臨んでいるので、こんなに何事もなく過ごすことができたら、かえって「大丈夫か、何かものすごいことを忘れていないか」と心配になってしまうほど(笑)。だらけずにリラックスしていられる心身状態をキープしていこう。

夕食は稽古場近くの喫茶店でしょうが焼き定食を食べた。学生時代によく行った「普通の」喫茶店である。
4月9日(日)

・青山のイタリアンディナー

夫が、こまばアゴラ劇場で開かれた『んぐまーま』『夏の夜の音』の二本立てを観に、上京。観劇後、私たちフィールドワーク組みと合流して青山のイタリアンで食事。その後、11時過ぎになったが、アゴラ劇場での『んぐまーま』の打ち上げに参加。しばし歓談。

眠りにつくまえ、メールチェックとサイトチェックして(←職業病)、友人夫妻の愛犬が亡くなったことを知る(詳細はここに)。合掌。

不謹慎かも知れないが、すぐに息子のことを思った。私は、息子が図太さを発揮して、とにかく長生きしてほしいと願う。夫は、長い短いを問わず、とにかく精一杯天寿を全うして生きてほしいと願う。ここのところの見解の違いをめぐってほんのしばし意見を戦わせたが、結局、二人合わせると、出し惜しみせず長生きしてほしいということになる。ゆうくん、かわいいゆうくん、未来への希望。せいぜい我が家に生まれたことを恨んでくれたまえ。親から与えられたハードルは高いよ。
4月10日(月)

・定食屋でまぐろのしょうが焼きセット

平田オリザさんの自宅地下の稽古場からこまばアゴラ劇場の5Fの稽古場へ移動した。搬出、搬入、機材のセッティングとめまぐるしく立ち働いた。タイムスケジュールはタイトだったが、なんとか目標時間内に組みあがった。やっぱり「慣れ」の問題が大きいと思う。稽古終了後、データのバックアップを機械にさせているあいだに、劇場近くの定食屋で同行者とともに夕食をとった。ある程度緊張感を保ってコトにあたらないと、なんかとんでもないことをしでかしそうですよね、と確認しあった。

今日は『夏の夜の音』のアフタートークに、小説家の奥泉光さんがゲストに招かれていて、物見遊山でアフタートークだけ覗きに伺った(公演自体は明後日の夜、観る予定)。小説だけでなく、いとうせいこう氏と文芸漫談をされる方だけあって、予想どおりサービス精神あふれるトークだった。

奥泉さんいわく、青年団の劇中登場人物は、みんな「にやにやしている」という。これは関係性に対する緊張感、関係をとろうとしてうまくいかないことに対する怖れというものがあるからこそ、「にやにやしている」のだという。漱石の『明暗』の登場人物たちも、演劇化するときっとにやにやしているに違いないとも主張する。「後ろめたいことをしているわけでもないのに、なんでそんなにぴりぴりしてんのさ」と冷静に考えればつっこみたくなるが、読書の渦中にいるとき登場人物といっしょにどきどきしてしまう、あの感じらしい。

いい得て妙だな。私(たち)の日常場面を振り返ってみても、他人の前では、にやにやしていることが多いはずだ。それにこの分類法でいったら、桜井圭介さんプロデュースのダンスも「にやにやしているダンス」に入ると思う。
4月11日(火)

・鉄板焼き屋で海鮮塩焼きそばなど

稽古が11時前に終わる。その後の、データバックアップの時間があるので、結局、11時半ごろに劇場を出た。ウィークリーマンションの自室でカップヌードルか、深夜の女の一人ごはんか迷ったが、結局、マンション近くの、焼酎とワインを出すおしゃれ系鉄板焼き屋さんで夜ご飯にした。この辺は夜遅くまで多くの店が開いていて助かるわあ。しかも、女の一人ごはんでも、違和感ないし。

鉄板を前にしてお店の人と1対1で対峙する形でカウンターに座ることになった。お店の人はおだやかで感じよかったが、味のほうは、塩味が濃すぎだった。この辺のところを、時間帯や客を見て調整してくれたらいいのになあと思った。複数人で来店して、ちょこっとずつ取り分けるのと、ひとりがひとつの皿すべて食べるのとでは、必要とするしょっぱさが全く違う! 初めての店でごちゃごちゃ言うほど度胸はないので、このことをそっと胸にしまって帰宅した。でも、たぶん、健康のためにも二度と行かないと思う。下手するとカップヌードルより消費塩分が高いんじゃないかな。

ああ、しょっぱ。脳に直接到達するようなしょっぱさ。うーん、関東のほうが、やっぱり味が濃いのかな。。。私のつたない外食経験に照らしあわして自分の好みをいえば、確実に関西のだし中心の、おだやかな優しい味つけが好きだ。

自炊生活の中心になって、あんなに外食に恋焦がれていたのに、いざ外食が続くと文句たらたらになってしまっている今日この頃。長生きするためには、家族の成員の体調に合わせて自炊したほうがいいに違いない。手作りお弁当を持ってきている劇団員の人もいるが、それが一番おいしいのかな。
4月12日(水)

・『夏の夜の音』の打ち上げメニュー

稽古終了後、アナンジュパスの『夏の夜の音』を観た。病に臥した正岡子規と渡欧中の親友・夏目漱石との手紙のやりとり(朗読)を時間軸に据え、正岡子規の詩を中心とした音楽も聞くことのできる贅沢な内容だった。

動くこともままらない子規の耳に聞こえてくる生活音。憧れのヨーロッパに行けない代わりに、他愛もないその生活音を「そのまま見ているかのように描写」する子規の手紙に対して、漱石の手紙は、やたら愚痴っぽく、実際に何度も下宿を引越している。親友の目を通じてせめてもヨーロッパを見ようとした子規と、自分の足でヨーロッパに立ちながら、内にこもってしまった漱石の対比がおもしろかった。

子規の歌はお気楽で明るい。あっけらかんとしている。しかしそのなかに潜む、世界の明るさに対する恋焦がれる気持ち、せつない気持ちを代弁するかのように『キラキラヒカル』(作・入沢康夫)の詩が途中で歌われたりするのだ。私の涙腺はゆるみっぱなしだった。つまり、私は、子規はすごいなあと友を心から尊敬しつつも、結局は自分の愚痴をこぼすことに忙しくしてしまった漱石の悔恨に感情移入していたことになるのか。

打ち上げにも参加した。『上野動物園再々々襲撃』に出る俳優さんが打ち上げのメニューを担当していた。野菜と魚中心のやさしい味に出会えた。ひじきごはんのおにぎりも絶品だった。お店を出せるんじゃないかな。ひさびさにしみじみおいしい夕食にありつけた。昨日の今日、願いがかなってうれしい。
4月13日(木)

・マクドナルドのダブルチーズバーガーセット

今日は、稽古のない休日。1週間ぶりに何も予定の入っていない日となった。午前中は、洗濯やたまったメールの返事書き。午後からは、喫茶店をはしごしながら短い原稿書きと稽古の資料整理をしこしことおこなった。

7時ぐらいにすべて終わったので、映画『ALWAYS三丁目の夕日』をみに、池袋まで足をのばした。『上野動物園再々々襲撃』の稽古で、演出家から若手の俳優に対して、時代考証のため見ておくようにと指示が出されていたので、私も一応見ておこうと思ったのだ。

確かに時代の雰囲気は「お勉強」できた。夫婦役の堤真一と薬師丸ひろ子のとぼけた雰囲気もよかった。でも全体的には、あのCGどうやって作ったんだろうとか、映画の内容と直接関係ないことばかり思ってしまって、あまり集中できなかった。「泣ける」映画と聞いていて、しっかり期待して手にハンカチを握っていたのに、なんだか白けてしまった。最近涙腺がゆるんでいるからといって、何にでも感動するわけではなかったのだな。たぶん、セリフに対して敏感になってるからだと思う、そのセリフは変でしょうがとつっこみどころ満載の映画なのだ。鑑賞中、「もっとうまく騙してくれなくちゃ、みきちゃん困っちゃう」と自分で内言して自分のなかでゾワっとしていた。

もの足りない気分をかかえ、そそくさとマクドナルドで遅い夕食を摂った。学生時分に戻ったかのようだ。でも、もう学生時分には戻れないな。しばらくマックはいいや。ああ、もっと「いいもの」が食べたい。

今滞在しているのはウィークリーマンションなので、キッチンもついている。電子レンジもついている。それに、お隣は、24時間オープンのスーパーマーケットなんだよなあ。その気になればいつでも自炊可能。問題は、備え付けの調理器具がヤカンのみで、包丁、まな板、鍋やフライパンとかがないこと。あと10日で移動するので、買い揃えるのもなあ。

と、食に関してはぶつぶつ優柔不断の文句ったれになっているのでした。
4月14日(金)

・喫茶店で和風ハンバーグ定食

稽古が予定より早く終わり、7時には稽古場を退出することができた。ひさびさに普通の時間帯に食事だわあとうきうきしたが、ウィークリーマンションのある渋谷円山町近辺に、女ひとりで立ち寄れるタイプの、和風おばんざい的な健康的なお店はなかったのだった(←あるのかもしれないが、見つけきれていない)。飲み屋以外に、和風の定食屋もあるのだけど、常連さんでいっぱいの雰囲気で、まだ自分には思い切って入る勇気がない。

で、結局喫茶店で食事となる。注文してから、おお、昨日も一応ハンバーグ食べたんだったと気付いた。急に霧消に生魚が食べたくなった。生魚食べたいと思いながらハンバーグを食べている女の姿は、きっとけだるいアンニュイな雰囲気が漂っていたに違いない(笑)。ま、喫茶店のよいところは、食後にコーヒーを飲みながら、台本とフィールドノートを広げての資料整理ができるところだ。これ以上、食事に関して文句はいうまい。ごちゃごちゃ言い訳をして、自炊をしない自分が悪いのだ。

せっかく東京に来ているのだから、Oさん(おいしい居酒屋を見つけたから今度連れてってあげるよと言ってくださっている)に連絡したいけど、稽古の終了時間が事前に読めないのと、休日は休日で、たまった仕事を片付けることに費やされてしまうので、実現せず。

今、頭が完全に仕事モードなのだな。余裕とか遊びの要素がない(←よそ様からは、映画みたり舞台みたり、遊んでいるようにしか見えないかもしれないが、そうじゃないんですね。)これからの研究者はもっともっと、舞台や映画や絵画などを日常的に見て、直接的間接的問わず自らの仕事に生かさなければならないとか、鼻息荒く考えてしまうのだ。自分よ、もっと肩の力を抜くように。
4月15日(土)

・宴会(ホルモン焼き)

昼間は、先方の都合で、急遽演出家なしの自主稽古になった。1日ぽっかり時間が空いたことになる。今月中に仕上げないといけないビデオ編集の方策を練ろうと思ったが、イマイチ自分のなかで乗り切れず、あきらめ、結局、本屋で適当な本を買って読書することに決めた。

ひさびさに渋谷のBook 1stに行った。大量に本があってとってもうれしかった。東京に住んでいたころは、レイアウトが悪いなど、文句ったれになっていたが、お寒い本屋事情の田舎で暮らすと、本がたくさんあること自体、とても有難い気持ちになる。数って大事。

で、結局、1階を見て回るだけでお腹がいっぱいに。その段階で3冊の本を手にしていて、これ以上、買っても今日中に読みきれないなと思い、上の階に上がるのをあきらめた。そのなかの1冊が、平積みになったよしもとばななの『イルカ』。読んでみた感想:なんて甘ったるい世界なんだ。女子高生のときに読めば、感動したかもしれない。げんに、『TSUGUMI』や『キッチン』は夢中で読んだ記憶がある。でも、今はだめだ。

小説のなかの語り手は、本のなかで日本社会のひずみが女の側に出てきてしまっていることを何度も主張する。社会のはみだしものを自認する主人公も、なんとなく彼女たちに同情を寄せている。自分が甘ちゃんだからこそ感じるのかもしれないが、私は、主人公の、対象に距離をとった甘ったれぶりが嫌いなのだ。そんなに中途半端な自分を、世界を、肯定しちゃっていいのって、単純に胡散臭く思ってしまう。むろん深刻ぶるほうが罪は深い気もするが、それでも開き直りに近いその肯定感は苦手な部類に入る。ほとんど自分勝手に、この小説は、女子高生を始めとする若い女性向けのエール(夢見る権利ってやつ)なんだと思うことにして、処理した。じゃないとやりきれない。

夕食は、公式の宴会として、『上野動物園再々々襲撃』関係者の人々と、とってもおいしいホルモン焼きを食べた。私は、俳優の方々と話をするのが本当に好きなんだなと実感した。
4月16日(日)

・スパゲティセット

朝、部屋の鍵をなくしたと思い、自分ひとりで大騒ぎした。結局見つかったが、待ち合わせ時間10時を、20分ほど遅刻。でも、今日もまた、急遽、演出家なしの俳優による自主稽古となった。しばらく自主稽古を見学したが、12時過ぎには稽古場を退出した。

いったんカバンを置こうとウィークリーマンションまで戻る。部屋の鍵を開けようとするも、開かない。「え、なんで?!」と思いながら、何度も鍵を差し込んだり、ノブを回しているうちに、ふと部屋番号を見て、階をひとつ間違えたことに気付いた。ついていない。というより、もし部屋のなかに住人がいたらさぞかし肝をつぶしただろう。申し訳ありませんでした。

昨日、ひさびさに遅くまで話しこんでいたんで、完全に寝不足状態だった。軽い頭痛もする。今日みたいにケアレスミスの多い日は、無理せずゆっくり休もうと思って、しばらくベッドでうとうとした。休みたいときに自分の意志で休めるのって、有難いことだと思う。病気しないこつだ。4時間昼寝するとほぼ体調が復活していた。

夜は、BOOK 1stで、休みの日にふさわしいさらりと読めるであろう小説(文庫本)を買い、そのまま近くのタパスタパスという「超」がつくほどカジュアルなチェーン系のイタリアンに入った。自分の本当の気持ちは、親子丼が食べたかったのだけど、ひとりで入るのを躊躇してしまう店ばかり。食に対する情熱を持ち続け、たった一人でも食べ歩きを続けることのできる人って、きっと精神的にものすごくパワフルか、いい意味でよほどの変わり者なんだろうなあ。今日の私は、若い女の園に逃げ込み、注文の品が来るまで文庫本片手に読書もできる気安さに抗うことができなかった。味に何も期待しない気安さと引き換えに、倦怠感も引き受けなければならないが。。

最近の私の食のパターンは、お昼は、夜入りたくても入りずらい居酒屋のさっぱり系ランチメニュー(いわしの刺身定食とか)を頼み、夜は、多少胃もたれ感があってものほほんと鷹揚に過ごしたいので、ひとりで入っても浮かない場所で食事することが多い。

夫が庭の写真をアップしてくれた。一年で一番華やかな季節を今年は見逃している。寒い冬にせっせと「仕込み」をした分、自分の目で見たいよー。どこでもドアがほしいよー。
4月17日(月)

・豚焼肉弁当

今日は、2時から10時ごろまでみっちり稽古があった。稽古のあいまの夕食休憩時間に、お弁当を食べた。劇場向かいのよくいく喫茶店が共同経営している肉屋が、お弁当も売っているのだ。できたてのおかずにあつあつご飯がおいしかった。ちゃんとしっかりお腹が空いたときに食べるご飯って、幸せを感じる。
4月18日(火)

・ビール
・タイカレー
・トマトのブルスゲッタ

夕食休憩なしに、3時から9時過ぎまで稽古があった。データバックアップが終わったのが10時。同行者とお腹ぺこぺこになって駒場東大前駅の西口のほうまで行き、遅くまでやっているカレー屋(夜はバーになる)に入ったら、劇団員の人たちもたくさんたむろっていた。どうやら青年団御用達のようだ。上の3種頼んで、しめて1500円也。どれもおいしく、この時間帯にしてはとってもお得感がある。

今はりついている稽古は、『上野動物園再々々襲撃』という作品なのだが、チケットの売れ行きが好評なので、知人宛のDMには早めに席を予約するよう書いて出すように劇団員には指令が来ていた。タイムズスクエア内の紀伊国屋サザンシアターで3日間しかやらないためか、読売演劇大賞をとった作品の再演だから人気なのか、いろいろ憶測が飛び交っていた。

関東近辺に住んでいる方、ぜひ、この機会に見にいらしてください。詳しい情報は、ここに載っています。オンライン予約も可能です。

伝説の演劇人・故金杉忠男さんへの鎮魂歌にふさわしい作品がいま作られています。青年団最古参の俳優が、旧悪がき軍団「最年少」役で出ているほど、平均年齢の高い芝居となっています。(←中年団とも噂されているくらい)
3日分、まとめて更新!

4月19日(水)
・旅館の夕食

日曜ぐらいから、息子の様子が変わり始めた。電話口の声は、それまで絶好調に楽しんでいるような明るい声だったのが、声のトーンが下がり、「おかあさん、今日、来る?」「会いたい」とか言うようになったのだ。危険因子の芽は早く摘まないとだめだ思い、お互いの気分転換も兼ねて、実家の両親(&息子)と温泉旅館で待ち合わせた。(←さいわい稽古が休みの日だったので)

ひさびさに息子と再会したとき、二人とも照れてもじもじしてしまったが、すぐ慣れた。旅館入りする前に、水族館に寄り、魚群を見せてやったら、地面を何度も踏み鳴らしものすごく興奮してよろこんだ。露天風呂に初めて入ったときは、最初は怖がっていたが、そのうち「お外のお風呂」と認識するようになった。浴衣も初めて着た。ズボンをはかず、パンツだけなのが不思議だったみたいで、ほかの大人の浴衣の裾をめくってズボンをはいていないかどうか何度も確かめたりした。夜は一緒の布団に寝ようと思い、積極的に「べたべた」スキンシップをしていたら、ぷいと離れて自分の布団の中に入り眠ってしまった。朝は、ズボンをはいていないのが落ち着かなかったみたいで、自分からズボンと靴下を履いた。

朝、別れるときは、ちょっとだけ抵抗があった。「おかあさん、またこれからお仕事行ってくるけど、大丈夫?」「おかあさん、お仕事しない」「ううん、行かないといけないんだよ。ゆうくんはおりこうさんだからがまんできるよね?」「がまんできない」「でも大事な仕事だから行かないといけない」「ゆうくんもお仕事する」という感じで。でも、しばらくするとあきらめて、物分りよく(ただし不満げに)、父に抱っこされてばいばいしてくれた。

いま、息子の物分りのよさに私は助かっているが、将来なんらかの形で必ず「報復」されると思う。その報復の形式が、自分や他人をネガティブに追い詰めるものではなく、何かを創造する(=さびしさを昇華する)形であって欲しいと強く願う。

4月20日(木)
・ビール
・タイカレー
・温野菜のサラダ

ひさびさの息子との再会の余韻を引きずりたいのは山々だったが、心を入れ替えて(入れ替えたつもりになって?)、稽古場入りした。10時半ごろに稽古場を退出。お腹ぺこぺこだった。18日に行ったカレー屋さんでひとりごはん。

来週末、金曜夜から月曜朝にかけて、夫が岡山の実家に行くことにした。可能なかぎり、そばにいてやりたいということで。

4月21日(金)
・居酒屋メニュー

第1回目の通し稽古が開かれた。通しのときは、ワイヤレスマイクの受け渡し方法のことで頭がいっぱいで(全員分の数がない!)、何ともないと思っていたが、やはり作品が作品なだけに後からじわじわやってきた。誰かと食事したい気分山盛りとなり、同世代の俳優さんを誘って、11時ごろから居酒屋で遅い夕食をとった。彼女とは知り合って10年近くになる。彼女が青年団に入団した年と、私がフィールドワークで出入りするようになった年が同じなので、彼女の演技を見ると初心に帰るというか自然と新鮮な不思議な気持ちになる。

結婚することのメリットのひとつは、誰と夕食を共にしようか悩む必要がないことにあるのではないか。(←悟った風の物言いですいません。)普段満たされているからこそ、たまに独りになりたいのであって、ずっと独りはいやなのだ。出た、出た、甘えん坊モードが。このことをちゃんと自覚したうえで、気を引き締めて、データ収集に集中すること。あと、そろそろ本腰を入れて、別件の準備も同時進行で始めないといけないので、頭の切り替えがうまくできる様、自己統制能力を高めないとなあ。なんと難しい。。
2日分、まとめて更新!

4月22日(土)
・イタリアン数品

こまばアゴラ劇場での稽古はこの日で終わり、いよいよ富士見市民文化会館(キラリ☆ふじみ)に移動して、実寸大のセットを使っての本格的な稽古のフェーズに突入することになった。稽古終了後、機材のパッキング作業をし、別件の展示会に必要な買い物をおこなった。夕食にありつけたのが、10時ごろ。同行者と翌朝の搬出、搬入作業の打ち合わせも兼ねながらも、東京最後の夜の打ち上げにすべく、ちょっといい店を選んだつもりが「はずれ」だった。クリームをたっぷり使うタイプのイタリアンで、お腹がもたれてしまった。最近、毎日のように10時過ぎてからの夕食になっている。。

4月23日(日)
・回転寿司

今日一日フル回転だった。このフィールドワークのなかで、昨日今日が、きっと疲労のピークを迎えていると思う。目をちゃんと開けられないほど、しょぼしょぼしている。けど、お疲れハイになっている感もある。調子にのって怪我をしないよう、気をつけるべし。

以下、今日のタイムスケジュールを書き記しておく。引越し作業の素人がたった二人で、これだけこなすんだよ。えらいよ、自分たち! 仕込んでバラスのが宿命の演劇の稽古場を追いかけていると、おかしいほどタフな人々に囲まれ、自分たちもてきぱきしてしまっている。

8時過ぎ:同行者がレンタカーを借りに行く
      自身の荷物の積み込み
9時過ぎ:私のウィークリーマンションの荷物積み込み
10時前:こまばアゴラ劇場で機材搬出、車に積み込み
11時過ぎ:川越向けて出発
13時半:レオパレス川越支店にて、ウィークリーマンションの
      部屋の鍵を受け取る
14時過ぎ:鶴瀬への移動途中、蕎麦屋で昼食
15時過ぎ:各人のウィークリーマンションの部屋に荷物を入れる
16時前:キラリ☆ふじみ(劇場)入り。機材搬入・組立
18時半:稽古開始
21時半:稽古終了
22時前:劇場退出

現場には、稽古初日特有の、はりつめた緊張感が漂っていた。裸舞台の段階では、こちらのパースもとれないので、しばらくカメラ位置の判断を保留していた。けどいったん大道具が置かれ始めると、あっという間に仮舞台が出来上がった。稽古開始までに一部機材のセッティングが間に合わなかった。冷や汗か脂汗かわからないが、大量の汗をかいた。しかしながら、最小限の被害に済んだので、よしとする。あの状況では不可抗力の部類に入る。

食事は昨日の脂肪分を洗い流すかのように、昼間は蕎麦、夜は寿司であっさりと。こういうのをしみじみおいしいなあと感じる、日本人の舌をしているのだ。どんなにイタリアンやフレンチが好きでも、結局は。
2日分、まとめて更新!

4月24日(月)
・キムチ豚塩焼き丼(ほか弁)

劇場近くで夜開いている店は、コンビニと弁当屋(ほか弁)しかない。これからほぼ毎日、夕食はほか弁に頼ることになると思う。これまで滞在していた渋谷と違って、選択肢が限られている分、潔く有難く食べようと思う。いままでは下手に選択肢が多かったから、文句ばかりだったのだ。

4月25日(火)
・焼き鮭弁当

今日から丸々3日間演出家による稽古はない。したがって私たちは休みとなるが、劇団員の方たちは、そのあいだ大道具作りに精を出すことになっている。心身両面でタフじゃないと乗り切れないよなあとつくづく思う。

たまったメールの返事書き、日曜品の買出し(今度のウィークリーマンションの部屋にはヤカンもハンガーもない)、洗濯、資料整理でほぼ1日が終わってしまった。10時過ぎるまでお腹がすかず、結局夕食は、普段と同じように10時半頃から食べ始めた。条件づけられているのかな。

明日じゅうに最低でも骨子だけは仕上げたい重要案件がある。ラフな構想をこれから詰めて、明日一気に作業を進めたい。
4月26日(水)

・赤ワイン(グラス)
・生ハムとルコラのサラダ
・野菜のクリームスパゲティ、アンチョビ・バジルペーストのせ
・ブラッディマリー

昼間は、近くの畑や田んぼや民家の周りを散策した。れっきとした思索を兼ねてと言いたいとこだが、たんにぶらぶらしていたというのが事実。神社の周りの鎮守の森の新緑に気分をよくし、畑の菜の花やチューリップを見ながら歩いた。春の花々が盛りを過ぎかかった頃で、民家の庭先は円熟というかどぎつい色に染まっていた。真っ赤な牡丹や、朱色やピンクのつつじが枝中ぶわーとびっしり咲いている様は、ちょっとこわいくらいだった。私だったら、牡丹の隣につつじを植えることはしない。牡丹の赤が映えるよう、周りは濃い目のグリーンになるよう配置するのになあと余計なお世話的なことを考えながら歩いていた。

別件の仕事になかなか集中できなかった。こういうときは、無理に集中しようとするからいけないのであって、いつものように直接仕事と関係ない本を読むことにした。経験上、私には長すぎる助走が必要なのだ。

夕食は、読書も許容するこじんまりとした食堂で。弁当にもう飽きてしまったとは、自分でもこらえ性がないと思う。ちなみに今日買った本は次の6冊。

・高橋郁代 『with FLOWERS』 集英社
  無理しない優しい色合いのいけ方に心惹かれた。

・養老孟司 『バカの壁』 新潮新書
  実はまだ読んでなかったので、この機に。
  内容は凡庸(←私のバカの壁の表れということか?)。

・岩井志麻子 『東京のオカヤマ人』 講談社文庫
  同郷のよしみで購入。1章目で十分イタイ内容だったので、またの機会に続きを読むことにして、川端康成に移る。
  
・川端康成 『美しい日本の私』 講談社現代新書
  ノーベル賞受賞講演の全文。短い文章のなかに、はっとするフレーズがたくさん出てくる。何度でも読み返したい。「仏界入り易く、魔界入り難し」と書かれた一休の書を所蔵しているとのこと。サイデンステッカーの英訳付き。こちらもじっくり比較対象したい。

・鷲田清一 『悲鳴をあげる身体』 PHP新書
  <ある><もつ>と<ある><いる>の対比のところが重要なところだと思ったが、初読(流し読み段階)では難しくて理解できなかったので、機を改めて読み返すべし。知り合いのお父さんなので、勝手にこそばゆくなってしまう。

・いとうせいこう・みうらじゅん 『見仏記2:仏友編』 角川文庫
  まだページをめくっていない。これからベッドで寝転んで読むつもり。1作目は夢中になって読んだ。果たして2作目は?

今晩眠って目覚めたら、仕事の鬼になっていることを祈りつつ。そして、夫の風邪が治りますように。
2日まとめて更新

4月27日(木)
・赤ワイン(グラス)
・ほうれん草のソテー、半熟卵添え
・魚介のトマトスパゲティ

前日と同じ、隣駅にある食堂で。味はどうということはないのだけど、居心地がよいのでつい再訪してしまった。

昨日の高橋郁代さんの本にもろに刺激されて、隣駅でバラの花束を買った。大輪の白バラの周りに、巻きのしっかりした中、小のピンクのバラをグラデーションになるよう配置した。備忘録のために書いておくと、大輪のバラは「デザート」という名で、微妙な色合いのピンクのバラは「ジュリア」というそうな。うっとりするほどきれいだったので、初めて自分の携帯で写真を撮り、初めて携帯からメールを自分宛に送った。もう、自分大好き! 他の人に言ったら、この行為はとてもさびしいものらしい。

他にもわが部屋には、ミニバラやらウォータークローバーやらがあって、私を迎えてくれている。さびしくなんかないやい。でも、薄紫のベロニカの小鉢も気になっているんだなあ。やっぱりアディクション気味か。。

4月28日(金)
・焼き鳥屋で、いろいろと

別件の仕事の準備が不調である。体調も不調。目がしょぼしょぼして、だるくてしかたない。ただし、仕事も体調も絶不調というわけではなく、昨日から遅々として進んでいる感じ。その進み具合の遅さに、いらつきながらも、景気づけに 劇団員の方々と焼き鳥屋に行った。ウコン杯が気に入った。からだによさそう。

帰りがけに、駅に隣接している24時間オープンのスーパーで、サンスターの「健康道場:おいしい青汁」というジュースを購入した。いかにもからだによさそうな名前ではないか。とにかく体力勝負のところがある。風邪が周りで大流行しているので、悪い菌をはねつけるためにも、その手のおまじない的行為(自己暗示)を積極的にやっていこうと思う。

明日は稽古休みの日。このだるーい感じよ、消えろ。
だるさよ、消えなければ、ビオヘルミンを試してやるからな。